八咫烏シリーズ読む順番は?
阿部 智里さんの小説「烏に単は似合わない」八咫烏シリーズの読む順番まとめ。
①烏に単は似合わない
②烏は主を選ばない
③黄金の烏
④空棺の烏
⑤玉依姫
⑥弥栄の烏
⑦楽園の烏
⑧追憶の烏
⑨烏の緑羽
八咫烏シリーズ第一部は第6巻「弥栄の烏」にて完結。
シリーズ外伝短編集に「烏百花 蛍の章」と「烏百花 白百合の章」があります。
八咫烏シリーズ第二部の最新刊は「烏の緑羽」。
単行本が2022年10月7日発売。
外伝小説「烏百花 白百合の章」の文庫本が2023年5月9日発売。
八咫烏シリーズあらすじは?
①烏に単は似合わない

人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?
②烏は主を選ばない

八咫烏が支配する世界山内では次の統治者金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、東西南北の四家の大貴族と后候補の姫たちをも巻き込んだ権力争いが繰り広げられていた。賢い兄宮を差し置いて世継ぎの座に就いたうつけの若宮に、強引に朝廷に引っ張り込まれたぼんくら少年雪哉は陰謀、暗殺者のうごめく朝廷を果たして生き延びられるのか……?
③ 黄金の烏

物語は世継ぎの若宮と、郷長のぼんくら(とされる)次男坊が、危険な薬〈仙人蓋〉の探索にでかけるところからはじまる。不穏な気配を漂わせた旅先で、何と彼らが出会ったのは、人を喰らう大猿だった! 壊滅した村の中でたったひとり残されたのは、謎の少女・小梅。――いったい僕らの故郷で、なにが起こっているのだろう?
山内の危機に際し、若き主従は自らの危険を顧みず、事件のヒントを持つと思われる暗黒街の支配者のもとに出向く。そこで雪哉に課されたのは、未知の隧道の先にある物を持ち運ぶことだった。深い暗闇の底での冒険の末、雪哉が見たものとは?
④ 空棺の烏

八咫烏の一族が支配する世界山内で、宗家を守るのは山内衆と呼ばれる上級武官。勁草院という養成所で厳しい訓練がほどこされ、優秀な成績を収めた者のみが護衛の栄誉に与る。平民の茂丸、下人の千早、大貴族の明留、そして武家の雪哉。生まれも育ちも異なる少年たちは、勁草院の過酷な争いを勝ち抜き、日嗣の御子を護る武人になれるのか――。
⑤ 玉依姫

高校生の志帆は、かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れる。そこで志帆を待ち受けていたのは、恐ろしい儀式だった。人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶体絶命の少女の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か? ついに八咫烏の支配する異世界「山内」の謎が明らかになる。
⑥ 弥栄の烏

八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台に繰り広げられる、お后選び・権力争い・外敵の進入。大地震に襲われた山内で、100年前に閉ざされていた禁門がついに開かれた。
崩壊の予感が満ちる中、一族を統べる日嗣の御子・若宮は、失った記憶を取り戻すことができるのか。そして、人喰い猿との最終決戦に臨む参謀・雪哉のとった作戦とは――。
⑦楽園の烏

「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」
資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。この山には一体、何が隠されているのか? その答えを知っていると囁く美女に誘われ、山の内部に入ったはじめは、そこで信じられないものを目にする――。
舞台は東京から、八咫烏たちが住む異界「山内」へ。猿との大戦(『弥栄の烏』)より20年の時を経て、いま再び物語が動き始める。
⑧追憶の烏
猿との大戦の後、山内では一体何が起こっていたのかーー? 前作『楽園の烏』で描かれなかった山内の“その後”が明らかに!
⑨烏の緑羽
「なぜ、私の配下になった?」
生まれながらに山内を守ることを宿命づけられた皇子。葛藤と成長、彼らのその先には――
八咫烏シリーズ外伝短編集あらすじは?
①烏百花 蛍の章
異世界「山内」の壮大な歴史の流れの中、主要人気キャラクターたちは
どんな風に育ち、一方でどんな関係を結び、事件の裏側でなにを思っていたのか。美貌の姫君へのかなわぬ想い、愛を守るための切ない大嘘、
亡き人が持っていた壮絶な覚悟、そして、「命をかけた恋」……
本編では描かれなかった、「恋」の尊い煌めきが満ちる魅惑の短編集。
②烏百花 白百合の章
人気キャラクターたちの秘められた過去や、知られざる思い。本編では描かれることのなかった珠玉のエピソード。
「オール讀物」に掲載された「あきのあやぎぬ」「ふゆのことら」「なつのゆうばえ」「はるのとこやみ」「ちはやのだんまり」「おにびさく」のほか、「かれのおとない」、さらに書下ろしを加えた全8編を収録。
八咫烏シリーズ読書感想
②烏は主を選ばない
前作で后選びで争いが勃発していた時期に若宮に何が起こっていたのかを明らかになります。
ぼんくら次男と呼ばれる雪哉、うつけの若宮と呼ばれる奈月彦。
二人が出会い、身分の違いを超えて本音をぶつけあい解り合っていく様が見どころ。
前作に引き続きミステリー要素もあって、最後まで一気読みしてしまいました。
前作で若宮が物語終盤になってやっと現れたことに対する違和感を払拭する内容なので、もう一度「烏に単は似合わない」を読み返してみたくなります。
忠誠心とは何かというテーマもあって深みのある内容に感じられました。
③ 黄金の烏
仙人蓋と呼ばれる危険な薬の出所を巡る話。
若宮と雪哉が再会して旅をするというだけで嬉しい。
第四章での地下街の抜け道での描写は物語の核心に近づく内容でした。
第一部の終わりから読み直してみると、伏線の塊のようなパートで仕込みの多さに感心させられます。
ラストの真の金鳥が持つ役割と秘密の話が雪哉の決意に繋がる流れは高揚感があり、良い読後感を与えてくれました。
④空棺の烏
雪哉が隠していた才能を遺憾なく発揮するところが何より面白い。
同期生の重丸、千早、明留たちとのやり取りは学生らしい軽いノリ。勁草院という厳格で息苦しい学校でのお話しなので、彼らの会話が息抜きに調度よい塩梅でした。
終盤になると猿が再登場し、現実に引き戻されるような感覚に襲われます。もう少しこの学校での物語を読みたいという名残惜しい感じが読後は残りました。
⑤ 玉依姫
高校生の志帆目線で語られる山内の姿。
神としての姿を取り戻していく山神さまと暗躍する英雄の不気味さが印象的でした。
作者の原点とも言える作品。
終わりまで読んでみると、状況を呑み込んでからの志帆には精神的な強さを感じました。
一方で気になったのは若宮。
前作まではあんなに堂々としていて風格があったのに・・・相手が悪いとはいえ存在感が薄れてきています。
過去の記憶がないという苦しみから逃れられないのは仕方ないことですが、傍若無人な若宮が見たいせいか少し寂しく感じました。
⑥弥栄の烏
第一部完結。
ラストの大猿の言動をどう捉えるかですね。
雪哉のように戯言と切り捨てられればいいのですが、もしその話が真実ならとやはり考えてしまいます。
若宮自身が苦悶するように、山内の存続を願うならあり得ない愚行。
ただ、救いはあるのではないでしょうか。
浜木綿が朝顔の例えで若宮に伝えたように物事は移り変わっていくもの。
「お前は、自分の手で変わり朝顔を腐らせたかもしれない。だが、零れた種が残っている。悲観するのはまだ早い」
記憶を失う原因となった若宮の行動は取り返しがつきませんが、その失敗に執着して自責の念に己を沈めてしまうのは早計なのかもしれません。
大猿たちは決して許さないでしょうが。
もっと長い目で見れば過去の若宮の愚行も報われる日が来るのかもしれません。
そういったことが2部で描かれるのかなと妄想しています。
⑦楽園の烏
雪哉(博陸侯)が随分な悪党みたいに描かれていますが、山内の崩壊という切実な問題があるので真相が分からないことには何とも言えないですね。
雪哉としては最悪の場合に備えて人間界への移住の準備をしているけど、やはり大本命は山内の再生で今回の件はその布石なのかなと思います。
絵的に地味なのは残念ですが安原はじめという変わり者のおっさんが物語の中心に来てしまったことで先の展開が読めないというのは面白いところでした。
幽霊(紫苑の宮)の復讐というのがどういう意味なのかも気になるところです。
今後の展開を勝手に予想するなら、若宮と浜木綿は実は生きてました的なことがあるんじゃないかなあ。
あの二人がそう易々と退場するとはどうにも思えないんですよね。
⑧追憶の烏
楽園の鳥に至るまでの山内を描いた過去編。
楽観的な予想を立てていたので、ショッキングな展開の連続に気持ちが追い付かないことが何度もありました。
六章最後の雪哉の豹変をどう解釈すればいいのか。
誰かの為に戦っているのか、個人的な復讐に走っているのか、辛さのあまり人格が破綻したのか・・・読み終わった後で考えてみたのですが、彼の心中を言い表す上手い言葉が見つかりません。
面と向かって受け止めるには重た過ぎる感情がある時、わざと予定を詰め込んで忙しくすることでやり過ごすことってありますよね。
弥栄の烏のラストからずっと自分の感情を見つめる機会がないまま、それが積もり続けているような、そんな印象を雪哉に抱きました。