守り人シリーズ読む順番は?
上橋菜穂子さんの小説「精霊の守り人」シリーズ読む順番まとめ。
①精霊の守り人
②闇の守り人
③夢の守り人
④虚空の旅人
⑤神の守り人<来訪編>
⑥神の守り人<帰還編>
⑦蒼路の旅人
⑧天と地の守り人 第1部 ロタ王国編
⑨天と地の守り人 第2部 カンバル王国編
⑩天と地の守り人 第3部 新ヨゴ皇国編
⑪流れ行く者 守り人短編集
⑫炎路を行く者 守り人作品集
⑬風と行く者
守り人シリーズ本編は10巻目となる「天と地の守り人第3部 新ヨゴ皇国編」で完結。
外伝が3作品あります。
「流れ行く者」「炎路を行く者」は本編の過去の物語となっています。
最新刊は「風と行く者」。
文庫本が2022年7月28日発売。
守り人シリーズあらすじは?
①精霊の守り人
舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界 ── 。
腕ききの女用心棒・バルサはある日、川におちた新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムを助ける。チャグムは、その身に得体の知れない“おそろしいモノ”を宿したため、「威信に傷がつく」ことをおそれる父、帝によって暗殺されそうになっていたのだ。
チャグムの母・二ノ妃から、チャグムを守るよう依頼を受けたバルサは、幼ななじみの薬草師・タンダの元へ身を寄せる。そして、バルサとチャグムは、タンダとその師である呪術師のトロガイから驚くべきことを告げられるのだった ── チャグムに宿ったのは、異界の水の精霊の「卵」であること、孵化まで守らないと大干ばつがおこること、そして、異界の魔物がその「卵」をねらってやってくること ── 。帝のはなつ追っ手、さらに人の世の力をこえた危険から、バルサはチャグムを守り抜けるのか? バルサとチャグムの出会いから始まる、「守り人」シリーズの第1作。
②闇の守り人
数十年ぶりに生まれ故郷のカンバル王国にもどったバルサは、幼い自分を救い、育てた義父のジグロが、卑劣な反逆者にされていたことを知る。ジグロの汚名をすすごうとする中で、バルサは己の過去と向き合うことになる。
守り人シリーズ第二弾。
③夢の守り人
人の夢を必要とする異界の〈花〉。バルサの幼なじみのタンダは、その〈花〉に魂を奪われ人鬼と化してしまう。バルサはタンダをとりもどすことができるのか。大呪術師トロガイの過去も明かされる、シリーズ第3作。
④虚空の旅人
海にのぞむ隣国サンガルに招かれた、新ヨゴ皇国の皇太子チャグム。しかし、異界からの使いがあらわれたことで、王宮は不安と恐怖につつまれる。呪いと陰謀のなかで奔走するチャグムを描く、シリーズ第4作。
⑤神の守り人<来訪編>
バルサが人買いから助けた美少女アスラは、ロタ王国をゆるがす、ある特別な〈力〉を秘めていた。その〈力〉をもとめ、王家の隠密たちが動きだす…。せまりくる追っ手から、アスラを連れバルサは逃げる。シリーズ第5作。
⑥神の守り人<帰還編>
ロタ王家に使える隠密シハナの罠にはまったバルサ。一方、アスラはみずからのふるう〈力〉を恐れつつも、心は残酷な神へと近づいていく。待ち受ける運命から、バルサはアスラを救えるのか。シリーズ第6作。
⑦蒼路の旅人
対岸の大国であるタルシュ帝国の勢力が増し、不安がたかまる新ヨゴ皇国。皇太子チャグムは、罠と知りながら、祖父とともに海軍を率いて、タルシュの圧力がかかるサンガル王国の救援にむかう。
⑧天と地の守り人 第1部 ロタ王国編
タルシュ帝国からの航海の途中で、行方不明となった皇子チャグムを探すため、バルサはロタ王国へむかう。一方、北の大陸には、タルシュ帝国の侵攻がせまっていた。
⑨天と地の守り人第2部 カンバル王国編
国々の存亡をかけ、チャグムとバルサはカンバル王国へむかう。しかし、カンバル王の側近には、タルシュ帝国と内通しているものがいた。
⑩天と地の守り人第3部 新ヨゴ皇国編
「守り人」シリーズ最終章、完結編。隣国との同盟のために奔走したチャグムは、ようやく祖国・新ヨゴ皇国にたどり着く。帰還したバルサ、チャグムを待っていたものとは……。
⑪流れ行く者 守り人短編集
王のたくらみによって父を殺された少女バルサ、そして彼女を救った父の親友ジグロ。故国をすてた二人の旅路を描く守り人短編集。
⑫炎路を行く者 守り人作品集
「守り人」シリーズで、タルシュの密偵(ターク)となって活躍したヒュウゴ。そのヒュウゴが、ヨゴ国の軍人の家庭に生まれながら、なぜタルシュ国の密偵になったのかを描く「炎路の旅人」と、バルサの少女時代を描く「十五の我には」の二作品を収録。番外編にあたる守り人作品集です。
⑬風と行く者
つれあいのタンダとともに、久しぶりに草市を訪れたバルサは、若い頃に護衛をつとめ、忘れ得ぬ旅をしたサダン・タラム〈風の楽人〉たちと再会、その危機を救ったことで、再び、旅の護衛を頼まれる。
シャタ〈流水琴〉を奏で、異界への道を開くことができるサダン・タラム〈風の楽人〉の頭は、しかし、ある事情から、密かに狙われていたのだった。
ジグロの娘かもしれぬ、この若き頭を守って、ロタへと旅立つバルサ。
草原に響く〈風の楽人〉の歌に誘われて、バルサの心に過去と今とが交叉するとき、ロタ北部の歴史の闇に隠されていた秘密が、危険な刃となってよみがえる。「守り人」シリーズ10巻完結のあと、『流れ行くもの』(守り人短篇集)『炎路を行く者』(作品集)を番外編として発表。この『風と行く者』は外伝3作目にして大長編となる。
守り人シリーズについて
精霊の守り人シリーズの主人公は用心棒のバルサ。
シリーズの中で「旅人」と銘打ってあるものはチャグム皇子が主人公の物語です。
初刊となる精霊の守り人は命を狙われているチャグム皇子をバルサが守りながら逃避行をするという話。
全体的に重たい話ですが文章がとても読みやすいです。
カテゴリーは児童文学ですが、小説として大人が読んでも満足できる内容。
著者の上橋菜穂子さんは文化人類学が専攻。
フィールドワークを通じて得た人類にとって普遍的なテーマが作品の背景にあるので、老若男女問わずお薦めできる作品です。
守り人シリーズ読書感想
①精霊の守り人
守り人シリーズの最初の話。バルサが育ての親の気持ちをチャグムの護衛を通じで理解していく過程が印象的。中盤から狩人やラルンガ(卵食い)に襲われるシーンは緊張感がありました。最後まで読みごたえがあります。
②闇の守り人
バルサが故郷に戻り、過去と決着をつける話。闇の守り人は大人のファンも多いと言われているのも納得の出来でした。
③夢の守り人
テーマが夢ということもあって、全体的にふわっとした感じ。読後感は悪くはなかったです。タンダがどうなるのかというのが気になって最後まで飽きない話でした。
④虚空の旅人
旅人シリーズはチャグムが主役。儀式に招かれたチャグムがサンガル王国の闇と向き合う話になっています。この作品を機に10巻に及ぶ長編になったと著者が振り返っているように、シリーズの転機となる作品です。
⑤神の守り人<来訪編>
神を宿したアスラという少女を守りながら敵から逃げるバルサ。この展開は精霊の守り人に似ていてブレないバルサの強さに安心します。この問題をどう解決するのかの糸口は見えないまま終わってしまいます。
⑥神の守り人<帰還編>
最後の描写がが圧巻でした。流石のバルサも神を相手にするというわけにいかず、命運はアスラに委ねられます。
12歳の少女が血に飢えた神の衝動と闘い、決断を下すラストは過酷ですが読後は開放感があり、少しだけ希望が見える結末になりました。
⑦蒼路の旅人
チャグム皇子の成長していく姿を楽しむことができます。
ただ、相手となるタルシュ帝国の武力はあまりに強大。この状況を覆すことは不可能に思えますが、最後の奇策にに少しだけ希望を感じることができました。
4作目の「虚空の旅人」でも少し触れらたように、新ヨゴ国、ロタ王国、カンバル王国が一丸となることが鍵になってきます。「天と地の守り人」3部作でどのような結末になるのか楽しみです。
⑧天と地の守り人第1部<ロタ王国編>
チャグム皇子捜索の密命を受けたバルサ。
サンガルの宝石を売るならロタ王国と踏んでツーラム港で商人たちの動きを探るところから始まります。
新ヨゴ皇国ではチャグム皇子の葬儀が行われ、勢力が一変。ラドウ大将が実権を握り、タルシュ帝国との戦いと破滅がちらつきます。そんな最中でも冷静で最大限出来ることをするシュガは頼もしく感じました。
タルシュの密偵ヒュウゴが前作に引き続き登場。相変わらず掴みどころのない雲のような男で、バルサとのやり取りは面白いです。
帝国も一枚岩ではなく、ハザール王子とラウル王子が皇帝の地位をかけて争っているところに少しだけ光明があります。
本作で一番印象深いのはチャグムからバルサへの手紙ですね。
あなたたちが無事で生きていると思うことが出きれば、わたしは、がんばれる。
チャグムの強い意志が感じられる文章で泣いてしまうバルサにも共感しました。
⑨天と地の守り人第2部<カンバル王国編>
絶体絶命のピンチが続きますが、精霊の守り人以来のバルサとチャグムの旅に安心感を覚えました。最後はホイ(捨て荷)がうまくいって事態が前向きに進みます。
⑩天と地の守り人第3部<新ヨゴ皇国編>
成長したチャグムの雄姿が見どころ。
著者後書きにもあるように守り人シリーズの主役はバルサとチャグムなので、最後にバルサのこれからをキッチリ描き切って終わってくれたことが嬉しかったです。
MVP級の活躍をしてくれたヒュウゴの話は物語の最初と最後にあります。蒼路の旅人から始まるヒュウゴの賭けの顛末という視点から見ても面白いです。
⑪流れ行く者 守り人作品集
過去編ともいえる番外編。
まだバルサがジグロと旅をしていた時代の頃のお話しです。バルサが用心棒として経験を積んで悲痛な体験をしながらも徐々に強くなっていく過程など興味深かったです。
個人的にはまだ若く純朴な感じのタンダの存在が重たくなりがちな話を和らげてくれているのが好きでした。
⑫炎路を行く者 守り人作品集
若き日のヒュウゴを描いた作品。
本編のヒュウゴとは全く違う真っ直ぐな青年で驚かされました。